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  • 徳永仁・高村徳人
  • 九州保険福祉大学薬学部
  • 2013.01.09

    離島住民に薬剤師を知ってもらう―長崎県薬・東大大学院が共同研究


     長崎県薬剤師会(宮崎長一郎会長)の離島対策委員会(平山匡彦委員長)と東京大学大学院薬学系研究科医薬品情報学講座(澤田康文教授)はこれまで,離島住民のインターネットを利用した医薬品購入の実態などを共同で調査研究を行っていますが,2012年度はその実態を踏まえ,さらに離島住民にとって必要な医薬品の情報や薬剤師の職能を調べる目的で,長崎県五島市の協力の下,二次離島(本土に直接の交通手段のない離島)の住民を対象とした「お薬説明会」を行っています。
     11月に実施された椛島(かばしま)住民への「お薬説明会」に同行取材しましたので,そのもようをご紹介します。

    ●説明会の目的

     インターネット販売の実態調査結果では,インターネットを利用して物品購入をする住民でも,医薬品についてはインターネット販売の利用がほとんどなく,「薬はインターネットで買うものではない」といった意見が聞かれました。また,薬剤師による医薬品配達へのニーズの高さも調査結果から浮き彫りになりました。
     その結果を踏まえ,薬剤師が離島住民に対しどのような役割を果たせるのか,薬剤師による医薬品の適正使用情報の提供に対し,どれだけ離島住民のニーズがあるのかを探るため計画されたのが,今回の「お薬説明会」です。
     五島市の二次離島には,非常勤の診療所のある島もありますが,薬局や医薬品販売の店舗のある島は存在せず,医師や看護師に比べ,薬剤師という職種の存在もあまり知られていません。
     そこで,薬剤師が正しい薬の飲み方や薬の飲み合わせの注意などを住民に説明することで,薬剤師が身近にいるメリットを感じてもらうことも必要と判断しました。

    ●進む人口減少と高齢化

     共同研究では,五島市にある二次離島のうち、薬局薬店のない8つの島すべてで「お薬説明会」を開催し,今回訪問した椛島が最後の説明会になりました。椛島は五島市最大の福江島から船で30分ほどにある人口約170人の島で,他の二次離島に比べて人口は多いほう。しかし島内には小学生が一人いるだけで,生産年齢層の住民が少なく高齢化が進んでいるのは他の島同様です。
     「お薬説明会」は島内2カ所で行われました。

    ●薬への関心の高さは離島でも変わらず

     椛島の「お薬説明会」は,平山氏はじめ五島薬剤師会の田中秀和氏,井上広平氏の3人が島に渡って,医薬品の適正使用に関する説明のほか,住民からの質疑応答や薬に関する相談にも応じました。研究事業ということで,説明前と説明後にアンケートをとり,医薬品の飲み方などへの知識や関心の変化,薬剤師に対する理解などについて,前と後の変化が調査されました。
     以下,写真を中心に説明会のもようを紹介します。


    ●この日はシケのため定期便の欠航も危ぶまれたため,「海上タクシー」で椛島に向かうことになりました


    ●タクシーといっても,船内はマイクロバスほどの広さ。右の写真は船舶用のナビゲーションシステム


    ●福江港を後に30分ほど海を進むと椛島の港に到着


    ●役場の用意してくれた車を使って,最初の目的地である本窯(もとがま)地区へ向かいます


    ●「お薬説明会」の会場となったのは本窯地区の「郷里センター」


    ●センターの戸には,事前に送ってあった説明会の案内が掲示されていました。早速準備に取りかかります


    ●地元の方が三々五々集まってきます。最初に薬の知識や関心をアンケート調査してから,説明会を開始


    ●レクチャーの間に,「なぜカプセルを飲むのに十分な水が必要か」などの実験も


    ●薬局のない島の方々には,「お薬手帳」はあまり知られていないようでした


    ●説明会の後にもアンケートをとり,知識や意識の変化を調べます

    離島住民の医薬品適正使用,安全確保に何が必要かを明らかに

     本研究のきっかけとなった医薬品のインターネット販売については,インターネット販売業者が厚生労働省を相手取った裁判で,最高裁が厚生労働省の上告を棄却して,敗訴が確定しました。インターネットによる医薬品の販売は,第3類を除き原則禁止となっていましたが,敗訴を受け見直しが行われることになるでしょう。
     しかし,どのような販売形態をとるにせよ,医薬品の適正使用に関する情報提供は欠かせません。地域住民に対する医薬品の販売と適正使用情報の提供のあり方は何がベストか。地域住民の薬物治療の安全をどのように守るか。この研究から得られる知見が離島の環境に限定されたものでなく,地域住民に対する普遍的な薬剤師の役割を示すものになるかもしれません。

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